私も登場、座談会! (byサーラ・クリスメント)



ニーナ「座談会、第2かーいっ!」

サーラ「テンション高いね〜、ニーナちゃん。マルツに感化された?」

ニーナ「いや〜、作者がさ、いっこうに第九話を書いてくれなくて。ちっとも活躍の場が与えられてないんだよね〜。だからここでたっぷり活躍するぞ〜って意気込んでるんだよ。なんか横暴キャラがウケたらしいから、今回も『横暴ニーナちゃん』でいこうかな」

マルツ「ええ〜っ!」

サーラ「まあまあ、マルツ。そんな嫌そうな声出さなくても――」

マルツ「師匠は前回の座談会に来なかったからそんなこと行ってられるんですよ……。あのときは本当に大変だった……。ねえ、ファルカスさん」

ファル「まったくだ。今回もなにが起こるか、気が抜けないぞ、サーラ。ある意味、小説以上に気が抜けない。小説ならニーナ、そこまでムチャクチャなことしないが、ここではなにをやらかすか分かったもんじゃないし……」

マルツ「早くも疲れた表情してますね、ファルカスさん……」

ファル「お前も負けず劣らずな表情してるぞ。マルツ」

 サーラ、頬に一筋の汗を流し、

サーラ「……前回、なにがあったの……?」

ファル「……聞きたいか? 本当に聞きたいか? 聞いても後悔しない自信、あるか?」

サーラ「……う〜ん……、……やめとく」

マルツ「師匠、賢明な判断ですね」

 サーラ、小声で、

サーラ「……本当に一体なにが……?」

 マルツとファルカス、サーラに聞こえないよう会話。

マルツ「今回、師匠も壊れちゃうでしょうか…?」

ファル「どうだろうな……。あいつのウリはおっとりのんびりしているところなわけだが、場合によってはあいつがツッコミ役に回ることも覚悟しておかないと……」

マルツ「ツッコミ役に回った師匠……。僕、まったく想像できませんよ……」

ファル「奇遇だな。オレもだ……」

サーラ「もう、なにコソコソ内緒話してるの? マルツ、ファル」

ファル「あ〜、なんでもない、なんでもない」

マルツ「そうそう。なんでもありませんよ。強いて言うなら、ちょっとこれから起こるかもしれない、想像しようとしても想像できなかったことを、ちょっと想像してみようとしてただけです。……やっぱり想像できませんでしたけど……」

サーラ「一体なにを想像しようとしてたの?」

マルツ「それは――モゴッ!?」

 ファルカス、マルツの口をふさいで、

ファル「あ〜、ところでサーラ。ニーナはなにをやってる? これからはあいつの一挙手一投足から目を離さないようにしないと……」

サーラ「え? そんな大げさな……」

(むーむーと声をあげるマルツ)

ファル「いや、ちっとも大げさじゃない。――で、ニーナはなにを――」

マルツ「もがぁっ!! ぜえぜえ……はあはあ……。ファ……ファルカスさん、苦しかったですよ。ムチャクチャ……」

ファル「あ、ああ。悪かったな、マルツ。窒息死させるつもりはなかったんだ」

マルツ「まだ死んでませんよ! 僕! というか、窒息死一歩手前まではいかせるつもりだったんですか!?」

ファル「命に別状なければそれでいいかな、とは思ってた。ほら、今回は僧侶のサーラもいるし」

マルツ「ひどっ!! あんまりですよ、ファルカスさん!!」

ファル「まあまあ、ちょっとしたじゃれ合いだと思えば――」

マルツ「そんな微笑ましいものじゃありませんでしたよ!」

ファル「ああ、もう。分かったから落ち着け。でもって、いまは注意をニーナにだけ絞れ。でないとあいつ、なにをやらかすか――」

ニーナ「マルツく〜ん! ファルカスく〜ん! サーラさ〜ん! ほら、見て見て〜! せっかくだから、小説ではすでにやられちゃったキャラを召喚してみたよ〜。いや〜、ここって、魔力や魔法力の制限なしで術を使えるみたいだね〜! すっごい便利な所だよ〜(うっとり)」

ファル「――遅かったか……。ずいぶん静かにしてるな、と思ったらこれだ……」

サーラ「ファ……ファル……。額に手をあてて空を仰いでいる場合じゃないよ……。なんで『闇を抱く存在(ダークマター)』と、私たちが倒したはずの魔族フィーアがここに……?」

ファル「そういう所なんだ。ここは」

サーラ「――まさか……、ファル、前回の座談会もこんな感じだったの……?」

ファル「いや、前回はこれに比べればずっと穏やかだった。まさかなんでもアリだからって、過去に倒した敵を召喚するとは……」

ダークマター「くっくっく……、力だ……ここには無限の力が溢れている……我が完全復活するための力が――」

 頭を抱えてうずくまるファルカス。

ファル「あああっ! 面倒なことにぃぃぃっ!」

フィーア「以前はよくもこの私を倒してくださいましたねぇ……。ちゃんとお礼をしなければ……」

サーラ「しなくていいよおぉ〜(半泣き)」

 ――しばらくお待ちください。――


ファル「て……手こずった……。ちょっとダメージ与えてもすぐ回復するんだもんな……この空間のせいで……」

サーラ「こっちの魔法力がきれることがないのが唯一の救いだったね……」

ニーナ「マルツくん、あっちで真っ白になってるね」

ファル「ニーナ、そういうお前はまったく加勢してくれなかったな……」

ニーナ「ここでキミたちが死ぬことは絶対にないからね。面白おかしく見物させてもらったよ」

ファル「(この横暴娘め……)」

ニーナ「そんな怖い表情でにらまないでよ、ファルカスくん。倒した敵とまた戦うっていうレアな体験できたんだからさ」

サーラ「できればしたくない体験だったよ……」

ニーナ「……あ、もしかしてサーラさん、怒ってる?」

サーラ「そんなことないよ〜」

ニーナ「……ホッ。(よかった。サーラさんが怒ると怖いんだよね〜。暴力には訴えないけど、妙な迫力があるから……)」

サーラ「……と、言うと思った?」

ニーナ「びくっ! そっ、それじゃあまたね〜!!」

 言って虚空に姿を消すニーナ。

ファル「…………。やっぱりお前が怒ってみせると効果あるな……。普段怒らないだけあって……」

サーラ「そうだね〜。それじゃあそろそろ幕にしようか」

 歩きだすサーラ。

ファル「マルツ、まだ真っ白になってるが?」

サーラ「小説に登場するときまでには復活してるでしょ。放っておくのも師匠の役目だよ」

ファル「厳しい師匠だな、サーラ。でもお前、もっと愛に満ちた師匠じゃなかったか?」

サーラ「放っておくのも、また、愛なんだよ」

 とりあえず後を追うファルカス。

ファル「そういうものか……?」

 ファルとサーラの声がだんだん遠くなり……。
 放っておかれた、真っ白に燃え尽きているマルツを隠すように幕が下りてきて。
 
 ――終――



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